人称.jp

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「ビジネスは三人称で考える」とはどういうことか

○三人称=三人称視点
三人称

三人称視点とは、自分が誰かにしていることを行動の対象者だけでなく、回りがどう見ているか、ということも含めて考え思考できる状態を言います。ビジネスは最低この三人称視点・視野で考え行動しないと成果を上げることはできない・・・というのが本書の趣旨です。

そのために、三人称思考を解説し、これから社会に出られる方、すでにビジネスに携わっている方、そして役職者として組織に関わっている方、また経営的な立場にある方が、それぞれの立場でどうやってこの三人称思考及びその上位概念である多人称思考を身に付けていくかということを具体的に詳しく説明していきます。

三人称思考をもう少し詳しく説明すると、

三人称思考ができる人は、ビジネスのいろいろな場面で行う決定や決断が非常に的確に下せる人です。自分の行う行動や考えの基準が、自分視点(一人称視点)、相手視点(二人称視点)、そして回りの人達からの視点(三人称視点)も含めて行われているために、どうすれば一番、そのものごとに関わる人の感情的なことも含めてスムーズに無理なく進んで行くかということが自然に判定できるからです。

また、現状起こっていることから視点をすごく引いて見ることができるようになっているので、客観的に自分や回りの状況を判断できるようになり、結果、感情のコントロールが的確にできるようになりますから、通常、人に対して怒ったり・起きるものごとに対して焦ったりということがどんどんなくなっていきます。

さらに、客観的な思考ができることの副産物として、自分自身をも引いて見る(この思考を心理学的にはメタ認知といいます)ことができるようになる為に、自分に降りかかった大変な困難に対しても、困難と自分を切り離して考えることができるようになるために、精神的に追い詰められることなくスムーズに行動することができるようになります。

ビジネスでは、往々にして、抜き差しならない状況になったりする場面がありますが、この一見不可能に見えてしまうような難題も、三人称視点をもっている人にとっては、かえって回りの人との関係を強固にするチャンスや、その後のビジネスを大きく発展させるチャンスと捉えることができるので、そういう場面でも楽しそうに仕事をこなしてしまいます。そして当然ながら大きな成果を上げる事ができます。


三人称思考が身についている人は、マニュアルを超えた判断ができる人です。通常ビジネスは誰かが形にしていったことをマニュアル化して行うことで組織化していくわけですが、その全てをマニュアル化することが不可能であるために組織の拡大に際して大きなストレスを抱えてしまいます。

分かりやすく言うと、仕事が外部と係わりの少ないバックヤードや製造現場の場合などなら、まだかなり詳細なマニュアル化も可能なのですが、それが外部との係わりを持ち出したり、顧客との関係が生じてきたりする仕事になってくると、だんだんマニュアル化が大変になっていくということです。

そして、仕事の内容が少しずつ役職者へと移っていくと、ほとんどパターン化することは不可能という様相を示して行きます。

例えば、昨日は良かったことが今日は違った要因があるためにダメになった…ということが頻繁に起こるということです。また、同じような状況でも時間の経過と共に答えをどんどん変えていかないと対応できないなどということが、その場の判断として普通に起こっていくのです。

役職者の育成に欠かせない三人称視点

三人称

私が、顧問先のリーダー育成の時に人称視点の大切さに気づき“役職者は最低三人称視点をもって判断しないとダメですよ”と、教えるようになったきっかけは、実はこのマニュアル化できない役職者の仕事上の判断をどう教えていくかという問題を数年に渡って深く考えるようになったからです。

どの会社でもそうですが、仕事や組織の拡大に役職者の育成が追いついていかないのです。

コンサルの依頼を受け、ビジネスモデルやマーケティングを見直し、効果が出始めると次は採用、そして組織の拡大となっていくのですが、人はただ採用すればいいかというと、そんなことはまったくなく、優秀な人材それも現場のリーダーとして組織を率いてくれる人材、役職者として活躍してくれる人材の採用そして教育・育成が本当にネックとなってしまうのです。

大勢の人間を採用できる大企業ならば、教えなくてもできる人を見つければいいわけですが、全ての会社がそんなことができるわけもありません。なので、どうしても育成していかなければならないのです。

自分も含めて仕事ができる人は、なにが他の人と比べて違うのか、その違いをどう教えていけば、伝えようとすることが無理なくスムーズに相手に伝わっていくのか?を繰り返し繰り返し考え試行錯誤していきました。

その結果たどり着いた考えが、本書で説明している人称による視点や思考の違いを教えることでした。

そして、この人称による視点や思考の違いを講義化し各会社で教えた結果、それぞれスタート時の素養の差はあれど、現在では驚くほど早く思考を入れ替える事ができるようになりました。いろいろな会社で講義を通して現場スタッフが成長し、優れた役職者の育成ができるようになりました。

人称による視点や思考の違いを教えることは、とても価値のあることだと思っています。

本書では、この人称による視点や思考を入れ替えるステップや方法を詳しく説明していきますので、ご自身のスタンスでどんどん身に付けていって欲しいと思います。

三人称視点から多人称視点へ

さらに解説を加えていきますが、

三人称視点を持っている人は、経験の積み重ねから、また期待される仕事の大きさや、役割に応じてさらに人称の視点を上げていき、ものごとを判断したり行動するための基準値を時間的なことも含めて上げていく事ができるようになっていきます。

ちなみに、こういう形で人称を上げていくことを多人称視点を身に付けるという表現で捉えるようにしてもらっています。

視点の基準値を、時間的なことも含めて広く・大きくするということは、どういうことかというと、ものごとを判断する視点が、自分視点(一人称)から、他者視点(二人称)、そして回り視点(三人称)にとどまらず、例えばその判断や行動がマーケット全体からどう見るかというマーケット目線(本書で解説しますが、四人称視点位がこのあたりになります)、や業界から見た時にどんな影響を及ぼすかという業界目線(この辺りが五人称視点と考えています)というふうに判断の基準が広がって行くということです。

当然、こういった高次元の思考には、大きな視野の広さと共に、1年とか3年とか場合によってはもっと長い時間的な要素も重要な判断の材料になっていくので、求められる判断の基準値はかなり上がっていくということになりますが、そういった思考が、求められる立場や自分を鍛えることで判断ができるようになっていくということです。

先ほどの視点を会社の役職者に当てはめると一般的には

現場に求められる視点          二人称視点 

現場のリーダー(主任)に求められる視点   三人称視点

課長に求められる視点          四人称視点

部長職以上に求められる視点       五人称視点

と、なりますが、こう考えると分かりやすいと思います。

実際に顧問やコンサルの場面では、課長さんならば四人称思考、基準は部下よりも広く大きな視点で考える、ということは会社内だけではなくマーケット全体を意識した視点が必要だよね。尚且つ時間的な視点も長くして最低一年先は考慮して起こっている問題に対応する思考や能力を身に付けてくださいね・・・などと教育しています。

考えを求める時に、その考えをどういう基準で導き出すのかという思考の範囲や要素
そして枠組みを理解してもらうと伝達がとっても楽になっていきます。

そして、これを繰り返していくとこの問題はどの人称思考レベルで考えれば良いかという範囲まで自然にイメージできる様になるのでリーダー教育において素晴らしい手法になると思います。

その中でも、三人称視点は特に重要で、ビジネスをする上での思考の境界線になるのではないかと考えています。