人称.jp

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「ビジネスは三人称で考える」とはどういうことか

○ニ人称=ニ人称視点
二人称

二人称視点とは、自分の取る行動に対して、相手から自分がどう見えているかということも考えて思考できている状態です。

行動を起こす時に、相手を見ている自分がいますが、同時に相手からの視線も考慮している、つまり鏡に映っている自分の姿も良く見えているという状況です。

三人称

仕事でも日常でも人間関係がスムーズに行くのはこの二人称視点を身に付けることができてからになります。こういう形で現場が機能すると組織は活性化してサービス業であれば顧客に対するサービスは向上、工場であれば生産性もあがります。また、営業スタッフがこういう二人称思考をしっかり身に付ければ、営業成績は飛躍的に向上します。

さらに、開発担当者が二人称視点をしっかり持っていると、効果的な新商品の開発や新サービスの開発ができるようになります。

こういった状況は素晴らしい状況なのですが、この二人称視点で問題になるのは、自分が行っていることが、自分と相手以外の回りからどの様に映っているかという思考が欠けているという点です。

ホテルのラウンジや喫茶店などで、営業スタッフが一所懸命顧客に対してプレゼンテーションしている場面など見受けられますが、一生懸命なプレゼンの結果そのお客様には売れたとしても、ホテルや喫茶店での長時間に渡るプレゼンテーションそのものが、そのホテルや回りのお客様からどんな形に見られているかということまでは、思考が及んでいないのです。


また、今の状況が続いた時に将来どうなっていくかという視点の広がりや経過についての思考が欠けているという点も、経営視点に立った時には大きな問題となります。

顧客第一主義を謳っている会社で、現場のスタッフが顧客に集中するあまり、結果として利益率をかなり落とした経営状況に陥ることがありますが、自分がお客様に喜んでいただければうれしいと思うあまり、経費や時間、自分の体力や健康状態までも省みず熱心にサービスに当たっている担当者がその経営悪化の原因を作っているケースが多々あります。

こういう担当者は目の前の顧客からは好まれますが、経営者の意図をまったく分かっていないということで、なかなかマネジネント層への昇格は難しいと思います。

経営層や経営者自身が二人称視点で会社を経営していることで起こる最大の問題は、ずばり経営の視点に広がりや時間的な経過の概念が欠けてしまっているということです。

今の仕事が将来に渡ってしっかり発展していけるのかという理解がないまま、目の前の仕事にしがみついている場合がありますが、これは経営者が業界全体の動向や自社の将来をまったく見ていない=三人称視点以上の視点(・・・この視点を本書では多人称視点と呼ぶことにします)を身に付けていないということで起こる問題なのです。

回りから見れば、マーケットが縮小し大手がすごい勢いで低料金でのサービスを展開しようとしている業界なのに、今までのやり方をまったく変えようとしない会社があります。
こういう会社は、まさに、経営者自身が二人称視点の思考から抜けられないまま経営を続けているということです。