「ビジネスは三人称で考える」とはどういうことかというと、
1人称とは、自分(中心の)考え方で物事を判断しているという思考状態を言います。
これだと自分は満足していますが、回りのことはまったく考えていない…ということになります。
おそらく回りの人と上手くコミュニケーションが取れない状況になっているために、まったく仕事がはかどらない状態になっていることでしょう。
日常よく起こる現象としては、飲食店などでウエーターさんがいきなりテーブルにお皿をドカっと置いたりしますがそんな状態です。
そんな置き方をしたらお客様がどんな気分になるかがまったく分かっていない、気にしていない・・・という状況です。
また、その状況を回りのお客様が見たら、かなり引くと思うのですが、そんなことはお構いなしなので、自分がそういう接客をしていることで、だんだんお客様がそのお店に来なくなっているということにもぜんぜん気が付いていないわけです。
ビジネスとは、どんな場合でも基本的に回りの人とのコミニケーションを伴って行われる行為であり行動なので、自分の(しかもかなり自分勝手な)思考のみで行動する人が成果をあげることは特殊な場合を除いてはまず無いと思います。
自分の行為を相手は見ているし、その状況そのものを回りも見ているのです。
また、その行為や行動があなたやあなたの会社の将来を作っているのです。
ビジネスで長期に渡って成果を出している人は、回りの人よりも広い視野で物事を見て考えて行動しています。そして、その思考には広さとともに時間的な長さという視点も含まれています。
人称=視野の広さ」+「思考する時間の長さ」
ビジネスは、こういった思考を身に付けることでとても効率的になります。
また、各業界で成功している会社は組織的にこういった思考を常識化することで、大きな成果を上げています。
理解を深めていただくために、人称についてここで少し整理します。
○一人称=一人称視点
まず、一人称視点とは、自分中心で思考している状態です。
(人称を理解する上で、各人称の視点や思考を意識すると分かりやすいので以後は人称に視点や思考を付けて解説します)
先ほどの解説でいうと、視野が自分から見ている世界しかありませんから、自分が見えていない状態です。当然、自分が回りの人に対してどんな行為をしているかということが見えていない・分かっていない状況ですから、回りの人の反応や起こった結果から自分の行動を修正したりフィードバックを受け取る事ができない状況です。
この状態に居る人は回りの人がいろいろアドバイスしてくれてもそれが自分に言ってくれているとは理解しませんから、自分自身で自分の行動を直すことはもちろん、誰かのフィードバックを聞いて自分自身を修正することができない状況にいます。
それどころか、回りのアドバイスに“ムッ!”としたりしますから、だんだん回りから孤立していってしまいます。
いろいろな人が関わろうとしますが、自分が見えていないために反抗的な反応をしますから、組織の中で任せられる仕事がだんだん減っていき、最後には人とあまり関わりのない場所で決まったことの繰り返し仕事しか任せられないという状況になっていきます。
また、一人称視点の人がビジネスで独立し、何かを作ろうとしても、自分の作りたいモノを一生懸命に作っているけれど、それがはたして回りの人から喜ばれるかという思考に欠けているので、芸術家みたいな状況になってしまっているということがよく起こります。
経営者の中にも、一人称でしか物事を考えられない人が結構多くいます。
それを言ったら社員の気持ちがまったく離れてしまうだろう…ということを場面をわきまえずに平気で言ってしまう経営者がいますが、こういう場合には相手から自分がどう見られているかというニ人称思考を教えると、かなり改善される場合があります。
経営の話で付け加えると(こういったことは経営的にもっと大変な状況で起こりますが)、
役職上位者や経営者が業績不振から感情的になってしまい一人称思考に陥り、回りが見えなくなってしまい、回りからはまったく制御不可能になるということも結構起こります。
結果、組織はぎすぎすしてしまい退職者が多数出ますが、この状況が当の本人には自分が原因であるとはまったく分かりません。
最悪の状態になると経営が悪化、倒産の危機にすらなります。